ながれと構造の研究所

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RESEARCH NOTE No.3

正常系はRPA、判断はAI、責任は人間
AI組み込みデジタル社員の基本設計

Mamoru Awata(粟田 守) / 2026年10月

AI活用とは、すべてをAIに置き換えることではありません。ルールで書けない領域だけをAIに任せる、設計の話です。

RPAとAIは、互いの裏返し

観点RPAAI
得意手順が決まった定型処理想定外、揺れ、文脈を要する判断
苦手想定外、画面の変化速度、コスト、毎回同じ結果を出すこと
再現性確定的揺れる
説明責任手順がそのまま説明になる判断の根拠を別に残す必要がある

得意と苦手が裏返しなので、分業が成り立ちます。決まったことは決まった方法で処理し、決まっていないことだけ判断を仰ぐ。熟練者が定型業務を手際よくこなし、想定外のときだけ上司に相談する構造を、システムで再現します。

三層と、それを貫く統制

RPA ― 正常系

手順が決まった部分を、速く、安く、確定的に実行します。

AI ― 異常系の一次対応

書ききれない例外を引き受け、判断や提案を返します。

人間 ― 責任を伴う判断

AIが判断しきれないものを引き取ります。判断の教師であり、権限を委ねる決定者です。

人間は「自動化できなかった残り」ではなく、最初から責任を持つ層として設計に入れます。ログ、許可する操作の限定、リトライの上限といった統制は、独立した層ではなく、三層すべてを横に貫く仕組みとして置きます。

なぜ、正常系を先に確定するのか

業務フローを書くときは、正常系を確定させてから異常系を足します。本設計も同じ順序をとります。正常系が曖昧なままAIを入れると、AIは何が正常かを知らないので、異常の判定そのものがぶれます。「AIに任せればいい感じにやってくれる」がうまくいかないのは、このためです。

正常系の確定は、AIにとっての判断の基準線になります。

「育つ」とは、境界が動くこと

デジタル社員は育ちます。育つとは、RPAとAI、AIと人間という二つの境界が動くことです。AIが拾った例外が定型化すればRPA側へ、人へのエスカレーションの履歴がパターン化すればAI側へ。判断が、上から下へ流れ落ちていきます。

目指すのは、組織の知が垂直(現場と判断者)・水平(担当や部門)・時間(過去の判断が今に効く)の三方向に、劣化せず、瞬速で流れることです。

BEYOND THIS NOTE

この先の議論

ここで紹介したのは入口です。次のような論点は、皆さんの組織の状況に合わせて、ご相談の中でお話しします。

  • 業務のどのステップを、どの層に仕分けるか
  • 払い下げた判断を監視し、問題があれば戻す経路の作り方
  • 受け入れ側組織の成熟度を見立て、任せる範囲を決める方法
  • D-HR(デジタル社員の人事部)が、エージェントを最小に保つ仕組み

デジタル社員とD-HRの全体像は、サービスのページでもご紹介しています。

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