「社員を信頼しているから、ルールは要らない」。気持ちは分かりますが、設計としては危うい考え方です。
信頼は、入力ではなく出力
信頼は、結果を通してしか観測できず、日々変化します。つまり信頼は、設計の前提に置ける「入力」ではなく、運営の結果として現れる「出力」です。
だから制度は、信頼の上下から独立して機能する「床」として設計します。性悪説を採るのは、人間が悪いと考えるからではありません。最悪の想定にも耐えられる頑健さを狙うためです。床が安定していれば、文化も信頼も、その上で安定します。
三つの原則
約束主義 ― 中身
組織と個人が交わした約束は、双方が守ります。明文の契約よりも手前にある、相互の約束です。
規範主義 ― 様式
約束が守られたかを、人の裁量ではなく、明文化された規範で確かめます。
適材適所 ― 権限
誰が判断し、誰が裁定するかを明確にし、役割と権限の所在をはっきりさせます。
中身・様式・権限という機能の三分割です。三権分立に近い構造になっています。
実装には、順序がある
業務の標準化
「正常」を定義します
データ基盤
業務の記録を一か所にためます
ダッシュボード
兆候を見える化します
正常を定義しないと、異常は検知できません。順序を逆にすると、意味のないデータがたまり、あとから標準化しても過去のデータは使えません。この順序は、規範が先で履行の検証は後、という三原則の依存関係と同じ形をしています。
見るべきは、売上ではなく利益率
売上は、労働負荷を増やせば一時的に維持できてしまいます。利益率はその「無理」のコストを映します。だからダッシュボードの頂点には利益率を置きます。
守り ― 赤信号
約束の不履行、規範からの逸脱、配置のミスマッチを早く見つけます。
攻め ― 緑信号
負荷が想定より軽い領域、つまり余力を見つけ、新しい事業の原資にします。